敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「やだ、怖い顔しないでよ。碧人さんはあの子に騙されてるわ」
「どういう意味です?」

 不快感を隠すことなく、俺は眉をひそめた。胸の奥からどす黒い怒りがせり上がってくる。
 彼女がこのあと陽咲を貶めるような言葉を吐くのはわかっていたが、どんな妄言なのか一応聞くことにした。

「あの子、私の前では本音を話したの。パーティーで笑顔を振りまきたくなんてないけど、仕方ないって嫌そうな顔してた。セレブの仲間入りができると思ったから結婚したんだ、って言ってたわ。京極家の財産目当てかも」
「そんなこと言うわけがない。ウソはやめてください」

 冷静な声で彼女の言葉を遮った。今のはすべてつくり話だ。俺は陽咲の誠実さを誰よりも知っている。疑う余地なんてない。

『緊張しちゃいそうですけど、がんばります』

 パーティーに誘ったとき、陽咲はそう言っていたのだ。なんとか妻の役目を果たそうと意気込んでいた。あの澄んだ瞳を俺は信じている。

「碧人さんは京極グループの御曹司なのよ? 結婚相手は慎重に選ばないと。なんの取り柄もない女じゃなくて、私にしておけばよかったの。今からでも遅くないわ。離婚して私と結婚しましょ」
「言ってることがめちゃくちゃです」
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