敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「私、インフルエンサーなのよ。あなたが結婚する前から二股されてたって、ネットで拡散したらどうなると思う? CEOの醜聞スキャンダルでアークラディアの評判は失墜、京極グループにも影響があるかもしれないわね。株価が暴落するとか?」
「脅してるんですか?」

 静かな声音で尋ねると、彼女は意味深にニヤリと笑った。
 ビジネスを通じてだが、彼女がどれほど勝気な性格かわかっているつもりだ。最終的に強引な手段を取るかもしれないという予想もついていた。

「スキャンダルを捏造するのは、やめたほうがいいですよ。困るのは弘花さん、あなたです」
「……え?」
「今の会話、録音させてもらってますから」

 俺は胸ポケットから取り出したスマホを、ガラステーブルの真ん中へそっと置いた。
 画面の中で無機質に刻まれているのは、入室してからの会話がすべて記録されていることを示すボイスレコーダーのタイムカウンターだ。

「なによこれ!」

 それを見た瞬間、彼女の顔から一気に血の気が引いた。事態をすぐにのみこんだようで、唇が小刻みに震えている。
 俺に刃を突きつけたつもりが、逆に自分自身を傷つけて致命傷になるものに変わったと理解したのだろう。言葉を失い、全身を凍りつかせていた。
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