敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「安心してください。この録音はどこにも出しません」
「……本当?」
「あなたがきちんと陽咲に謝って、今後二度と傷つけないと約束するなら、です」

 はっきりとした口調で念を押すようにそう言った。
 これは交渉ではない。もしも陽咲にこれ以上の嫌がらせ行為をするなら、そのときは容赦しないという圧力だ。

「……わかったわ。約束する」

 蚊の鳴くようなか細い声が聞こえた。先ほどまでの傲慢な態度は見る影もなく、力なく肩を落としている。こうなると、屈辱に耐えながらうなずくことしかできないのだろう。

「仕事の打ち合わせはまた今度にしましょうか。メールでもかまいませんし」
「そ、そうね。今日は失礼するわ」

 そばに置いていたハイブランドのバッグをひったくるように抱えると、彼女は勢いよく立ち上がった。額にはうっすらと冷や汗がにじんでいる。
 俺と視線を合わせないよう、急ぎ足で逃げるみたいに部屋を出ていった。

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