敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 ホッとしたのもつかの間、碧人さんは私の前に一歩出ると、父に向けて敵対するような冷たい視線を放った。
 声は冷静だが、先ほどまでとは表情がまるで違う。

「アンタからしたら、俺たち親子はろくでもないよな? 娘からもカネを無心されただろう?」
「されていません」
「例の借金、アンタが返済してくれたんじゃないのか? もしかしてコイツの奨学金も?」

 その言葉を聞いた瞬間、彼はあきらかに不快感をあらわにしてキュッと眉をひそめた。浅ましい考え方だと、あきれ果てているようだ。

「彼女が奨学金をコツコツ返済しているのは知っています。だけど、助けはいらないと断られました。自分の学費は自分で働いて返していく、と」

 娘の自立心や健気な努力を踏みにじるような父の発言を耳にし、彼の中で静かな怒りがフツフツと湧いたように見えた。
 それにしても恥ずかしい。父は奨学金ですら彼に払わせればいいと安易に考えていて、そういうところが嫌でたまらない。

「陽咲、なんでそんなに意地を張るんだ。助けてもらえるなら万々歳だろう?」
「私はお父さんとは違うの。他人を頼って迷惑をかけるのは嫌。自分のしたことに責任を持って生きていきたい」
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