敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 悔しさと情けなさで、自然と身体が震えてくる。涙があふれそうになるのを必死にこらえ、碧人さんの腕に支えられながら、私は父の目を真っすぐに見つめ返した。
 誰かの厚意や財産を貪るような生き方だけは絶対にしない。その強い意志だけは、一度も揺らいだことはない。

「……お前はバカだな。京極さん、こんな娘だけどよろしく頼む。で、さっきの話だけど、俺の借金返済は協力してくれよ。本当に困ってるんだよ」

 父は私の言葉を鼻で笑うと、すぐに碧人さんへと向き直った。その顔には気味の悪い笑みが貼りついていて、どんなに訴えても響かないのかと思うと、悲しくなってくる。
 私の気持ちなど丸きり無視で、ただ目の前の富に目がくらんでいるその姿は、あまりにも醜い。

「彼女はバカではありません」

 彼はきっぱりとそう言い切った。そして私を気遣い、肩を抱く手にそっと力を込める。

「知り合いの優秀な弁護士を紹介します。費用はこちらが払います。ご自身の借金について相談してください」

 予想だにしなかったのか、彼から〝弁護士〟という言葉が出た瞬間、父の顔が引きつったのがわかった。
 情に訴えて頼めば、簡単にお金を引き出せると思っていたのだろう。だけど、あてがはずれた上に、法的な手段まで持ち出されてしまったため、苛立ったのだと思う。
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