敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「こんなに頼んでるのに、肩代わりしてくれないのか? ずいぶんとケチだな。俺は義理の父親だぞ」
「親が生きていて連帯保証人にでもなっていない限り、子に借金の返済義務はありません。だけど陽咲さんはあなたに育ててもらった恩があるから、たったひとりの父親だから、見捨てられなかったんですよ」

 一歩も引かずに正論を突きつける碧人さんの姿は、誰もが圧倒されるほど毅然としていた。
 なにを言っても通用しないと悟ったのか、父はチッと大きな音を立てて忌々しげに舌打ちをし、顔をしかめている。

「これ以上、陽咲に依存しないでください」
「うるさい」
「先ほど、誰のために借金したと思ってるんだ、と言っていましたね。最初は家族のためだったかもしれませんが、今はギャンブルが原因の借金ではないんですか? だとしたら、自業自得です」

 完全に核心を突かれ、父は言い返せずに固まっていた。ぐうの音も出ないのだろう。口を半開きにしたまま視線を泳がせている。

「借金の件が片づくまで、陽咲には会わせません。つきまとうようなら警察に通報します」

 碧人さんは父さんに向けて最後にもう一度ぐっと睨みをきかせると、私の手を優しく引いて歩き出した。

 彼に導かれるまま、マンションの自動ドアをくぐる。
 手のひらから伝わる体温はとても温かくて、冷たくなっていた心がじんわりと溶けていくのがわかった。
 だけど、守ってもらえた安堵感と、激しい罪悪感が胸の中で複雑に絡み合う。

 ――私がそばにいたら、碧人さんに迷惑がかかる。
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