敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 翌日の早朝、私はそっと自宅へ戻った。家の前に誰もいないことを確認し、ホッと息を吐く。

「……ただいま」

 そうつぶやいたものの、父も当然まだ帰宅していない。

 私は真っ先に自分の部屋へ行き、ローボードの引き出しの奥にしまっていたものを確認した。
 普段の買い物はクレジットカードやスマホで支払いしているのだけれど、急に現金が必要になったときのために、少しコンビニで下ろして封筒に入れておいたのだ。しかしどこを捜しても見あたらず、封筒ごと消えている。

 ――やられた。

 ため息を吐いて、力なくその場に座り込んだ。どうやらここに隠しておいても意味がなかったらしい。
 封筒の中身から、いくらか父に渡そうとは思っていた。でも、まさかすでに全部持っていかれていたとは。

 いよいよ〝宝物〟を売らなければいけなくなったかも……。
 今日のシフトは遅番だから、十二時からの出勤になる。成美のところへ何日か泊まるなら、家からいろいろと荷物を持ち出すのは今がチャンスだ。

「セブエリのグッズは……売りたくないんだけどなぁ」

 私は飾っていたフィギュア、アクリルスタンド、アクリルブロックのうち、高く売れそうなものから順にひとつひとつていねいに鞄に詰めた。
 そのほか、人気アニメのキャラクターが描かれたプロモーションTシャツなども。

 今度は別のボストンバッグに、洋服など身の回りのものを入れていく。
 通勤用の服に着替えたあと、私はそれらを持って自宅を出た。
< 19 / 130 >

この作品をシェア

pagetop