敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「カネはできたか?」
「え?」
「親孝行しろって言っておいただろ」

 思わず一歩あとずさった。父の目が血走っていたから。

 ――どうしてこんなに変わってしまったのだろう。

『お前も働いてるんだからカネはつくれるだろ? 親を助けると思って、娘なら少しくらい協力しろよ』

 やっぱりあのときの言葉は、本気だったんだ。

「私の部屋にあったお金、勝手に持っていったでしょ?」
「あんなんじゃ全然足りない」

 ほかに現実的な選択肢がないと言わんばかりに、父が私との距離を詰めてきた。
 こんなに怖い顔をした父は初めて見る。それくらい、切羽詰まっているのだ。

「お父さん、自分が今どこにどれだけ借り入れをしているか、ちゃんと把握してる? わからなくなってるんじゃない?」
「俺の苦労も知らずに……偉そうに……」

 父が顔をしかめ、吐き捨てるようにそう言った。
 その言葉には追い詰められた焦りが交っていて、私は腹が立つというよりも怖いと思ってしまった。

「自分ならもっとちゃんと管理できるとでも言いたいのか? だったらお前が返済していけよ。俺はもううんざりなんだ」

 うんざりだと言いたいのは私のほうだ。
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