敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 最近はとくに、返すあてのない借金の心配ばかりして、ため息しか出ない。

「こんな生活になってるのは、借金を繰り返してきたお父さんのせいじゃないの?」

 本心を口にしたら怒らせるとわかっているのに、のみ込むことができなかった。おろかだと後悔しても遅い。

「うるさい! 家族なんだから協力するのはあたり前だろ」

 案の定、父の顔が怒りで一気に赤くなっていく。
 なにかもめているのかと、そばを通りかかった人たちから視線を集めた。お願いだから大きな声を出さないでほしい。
 父が苛立ったようにポケットをまさぐり、乱暴な手つきでなにかを取り出した。

「これ」

 差し出されたのは、消費者金融から郵送されてきた書面だった。

「そこに書いてある口座へカネを振り込んでおけ」

 無理やり手渡されたものを見てみると、真っ先に『ご返済期日を経過しておりますが、入金の確認が取れておりません』という太文字が目に飛び込んできた。続いて、父の氏名や会員番号、取引履歴、借入残高などが記載されている。

 書面の最後には『長期間ご返済の確認ができない場合、法的手続き等を検討せざるをえない状況です』と書かれてあり、恐ろしくて目の前が真っ暗になった。

「こんな督促状が来るなんて……いつから滞納してるの?」
「俺は例のヤミ金とか、ほかにもいろいろ支払いがあるんだ。だから、その分だけでも娘のお前が協力しろ。まあ、ちまちま払ってるだけじゃ、元本は全然減らないけどな」

 私が父の要求を無視したらどうなるのだろう?
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