敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 消費者金融で借りられる上限は、総量規制と言って年収の三分の一までというのが基本らしい。
 ただ、京極さんが言ったように、借りたときと今では年収が違う。

「私にも手伝えって、これを渡されました。父はヤミ金のほうで手いっぱいなんでしょう」

 先ほど渡された書面を出してテーブルの上に置くと、それを見た彼がつらそうに顔をゆがめた。
 あくまでも、これは借金の一部でしかないのだけれど。

「ごめんなさい。こんな情けない話をしてしまって」
「いや、聞いたのは俺だから。……その借金、これからは君が返していくのか?」

 父親がギャンブルでつくった借金なのに、と暗に言われている気がして、自然と視線が下がっていく。

「仕方ないかなと思ってます。実の父親ですから」

 昔の父は、あんな感じではなかった。
 私がまだ小さいころ、公園で肩車をしてくれた背中を覚えている。転んで泣いていたら、ゴツゴツとした不器用な手で頭をなでてくれたことも。「大丈夫だ」と笑ってくれた、あのやわらかい笑顔も。

 父は最初からあんなにダメだったわけじゃない。まともな時期もあった。
 おかしくなったのは詐欺に遭ってからだ。あの事件がなかったら、父はきっとブックカフェのマスターとして穏やかな生活を送れていたはず。
 そんなふうに考えたら、やっぱり見放せないと思ってしまう。
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