敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「たしかにセブエリは珠玉の名作です。あんなにおもしろいものはなかなかないですよ」
「君はほかのゲームのことにもすごくくわしいよな」
「昔からゲームには救われてきましたから」

 母が亡くなってつらかったときも、ゲームをしているときだけはその世界に浸ることができた。
 仲間になった子たちとチャットで話していると、あっという間に時間が過ぎて、さみしさを忘れられた。

「オタクすぎて、あきれますよね」
「いや、全然」

 私は照れ隠しのように小さく笑ってみせたけれど、彼はそれを冗談として受け流さなかったようだ。真っすぐこちらを見つめたまま、わずかに首を横に振った。
 こんなふうに真正面から受け止められたことなんて、今までなかったかもしれない。
 そう思った瞬間、理由もわからないまま、鼓動がしだいに速まっていく。

「あのさ、さっきの結婚の話に戻るんだけど」
「あ、はい」

 そうだ、京極さんは困っているんだった。ちゃんと話を聞かなくちゃ。私は顔を上げ、彼の言葉の続きを待った。

「明確な理由がないと、向こうがあきらめてくれそうにないんだよ」
「そうなんですか……」

 簡単には断れない事情があるのだろうか、と考えながら相づちを打つ。
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