敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 なんとなくだけれど、次になにか大事なことを切り出される予感がして、無意識のうちに背筋が伸びた。

「君のことは俺が助ける。借金の件は、俺が返済しておくから」
「え、それはダメですよ。家族でも親戚でもないのに、京極さんを巻き込めないです」
「その代わり……期間限定で俺の妻を演じてくれないか?」

 いきなりの話の展開についていけなくて、首をかしげたまま固まってしまった。

「……妻?」
「俺と結婚すればいい」
「結婚⁈」

 この人は本気で言っている。それは彼の目を見ればすぐにわかった。
 でも、結婚という提案は突飛すぎる。動揺したため返事ができなくて、しばし沈黙が流れた。

「言ったろ? 俺だって困ってるって。君と先に結婚すれば、ほかの女性との結婚は回避できる」

 互いに助け合えばいい。彼はそう言いたいのだろう。
 普通なら偽装結婚なんて断るべきだ。だけど、借金のこと、これからの生活……現実的な問題が頭をよぎる。ありえない話だと思うのに、この場ですぐに否定できない自分がいた。

「俺たちの利害、一致してると思うけど?」

 返事ができずに、私はそのまま考え込んでしまった。
 事情があるとはいえ、結婚なんて大胆なことをしていいのかというとまどいと、彼の言う〝利害一致〟という言葉が頭の中でぶつかり合う。だけど、私も彼も困っている現状をなんとかしないといけないのは事実だ。
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