敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「そういえば、陽咲さんが勧めてくれた〝曇り止めクリーナー〟を買ってみましたよ。あれ、本当にいいですね。曇りにくいです」
「でしょ?」

 賢也くんはそう言いながら眉間に手を伸ばし、かけている黒縁メガネをクイッと上げた。
 目にかかるほど分厚い前髪で額を隠している彼は、ウェリントン型の太縁のメガネがよく似合っている。

「私はずっと前からあれを使ってるの」

 実は私も視力が弱く、メタルフレームのメガネを愛用している。
 マスクが必要な冬や春先はメガネが曇ってしまうことも多く、賢也くんとその話になったとき、私が使っている曇り止めクリーナーを勧めたのだ。

「メガネって、しょっちゅう曇ったり汚れたりしますからね。でも俺、はずしたらなんにも見えないんで」
「私も。家でもずっとかけてるよ。ゲームするときは絶対必要」
「陽咲さんって、ちゃんと寝てます? 小説にマンガにゲームって、時間足りなくないですか?」
「あはは。たしかに寝不足かも」

 人それぞれ好きなものは違って当然。ファッションが好きな子もいれば、音楽が好きな子もいる。私はそれが〝本やゲーム〟なだけだ。
 新刊本や新作ゲームが発売されるとワクワクして、手を伸ばさずにはいられない。世間でおもしろいと噂になるものならなおさら。
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