敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 話している途中で気がついて、思わず賢也くんの顔を見た。
 書店に勤めているのに、この大人気シリーズの小説をまだ読んでいないとは……。

「前に言ったじゃないですか。俺が読むのは経済書ばかりだ、って」
「そうだったね。私はマンガや小説が多いけど」

 彼は世界経済に興味があるそうで、資本市場の構造を学ぶための本や、投資の基礎知識を解説した本などを主に読んでいるそうだ。
 たまに世界の株式市場の話をされることがあるけれど、私にはむずかしすぎてさっぱりわからない。彼はとても頭がいいのだと思う。
 同じ書店に勤めていても、小説やマンガ、ゲームが好きな私とはずいぶんと性質が違う。

「この小説、気になるなら私の家にある前作を貸そうか?」
「いいんですか? ありがとうございます。あ、でも……自分で買えよって感じですよね」

 彼が抑揚なくそう言うものだから、フフッと声に出して笑ってしまった。
 こうして好きなものを共有するのはとても楽しくて、日々の仕事の励みになっている。
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