敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「俺の知らない人ですか?」
「……京極さん。ほら、よくここにも来てたでしょ?」
賢也くんはいつも感情の起伏がほとんどない人なのに、今は全然違う。
碧人さんの名前を出した途端、わかりやすく嫌そうに顔をしかめた。
「いつの間にあの人とそんなことになってたんですか」
「えっと……交際ゼロ日婚、みたいな?」
「いや、おかしいでしょ。陽咲さんは電撃婚するタイプじゃないです」
断定するような言い方をされ、あっけに取られてしまった。普段の彼なら「おめでとうございます」とひとことだけ言って終わりそうなものだけれど、なぜこんなふうに感情的になっているのだろう?
「なんか、怒ってる?」
「怒ってませんよ。騙されてるんじゃないかって、心配してるんです」
「それはないよ」
即座に首を横に振って否定した。碧人さんはそんな人じゃないし、私を騙したところでなにもメリットはない。
彼は彼で偽装結婚を望んでいて、妻を演じる相手として私を選んだのは、私たちの利害が一致したからだもの。
「本当に好き同士で結婚したんですか?」
その質問は的を射ていて、一瞬だけ呼吸を忘れた。賢也くんの鋭い視線が突き刺さるみたいに痛い。
偽装、利害の一致、必要に迫られての決断。そんな事務的な言葉ばかりが脳裏をかすめて、新妻らしい惚気がひとつも出てこない。
私は逃げ道を探すように、手もとにある整理中だったポップをじっと見つめた。
「もちろんだよ。だから心配は無用。ありがとね」
薄く笑みを浮かべ、自然とウソが口をついて出る。でも今は、こう答えるよりほかになかった。
碧人さんは私に対して好きという感情はない。そう意識した途端、チクリと胸が痛んだのはなぜだろう。
詰問するように見下ろしてくる賢也くんの視線を正面から受け止められず、私はポップの束を持ってその場を離れた。
「……京極さん。ほら、よくここにも来てたでしょ?」
賢也くんはいつも感情の起伏がほとんどない人なのに、今は全然違う。
碧人さんの名前を出した途端、わかりやすく嫌そうに顔をしかめた。
「いつの間にあの人とそんなことになってたんですか」
「えっと……交際ゼロ日婚、みたいな?」
「いや、おかしいでしょ。陽咲さんは電撃婚するタイプじゃないです」
断定するような言い方をされ、あっけに取られてしまった。普段の彼なら「おめでとうございます」とひとことだけ言って終わりそうなものだけれど、なぜこんなふうに感情的になっているのだろう?
「なんか、怒ってる?」
「怒ってませんよ。騙されてるんじゃないかって、心配してるんです」
「それはないよ」
即座に首を横に振って否定した。碧人さんはそんな人じゃないし、私を騙したところでなにもメリットはない。
彼は彼で偽装結婚を望んでいて、妻を演じる相手として私を選んだのは、私たちの利害が一致したからだもの。
「本当に好き同士で結婚したんですか?」
その質問は的を射ていて、一瞬だけ呼吸を忘れた。賢也くんの鋭い視線が突き刺さるみたいに痛い。
偽装、利害の一致、必要に迫られての決断。そんな事務的な言葉ばかりが脳裏をかすめて、新妻らしい惚気がひとつも出てこない。
私は逃げ道を探すように、手もとにある整理中だったポップをじっと見つめた。
「もちろんだよ。だから心配は無用。ありがとね」
薄く笑みを浮かべ、自然とウソが口をついて出る。でも今は、こう答えるよりほかになかった。
碧人さんは私に対して好きという感情はない。そう意識した途端、チクリと胸が痛んだのはなぜだろう。
詰問するように見下ろしてくる賢也くんの視線を正面から受け止められず、私はポップの束を持ってその場を離れた。