敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「明日から限定アイテムがもらえるイベントがあるみたいですよ? 京極さんもゲットしてくださいね」

 彼女は俺がアークラディアのCEOだということは知らない。伝えていないのは、余計なフィルターがかかるのを恐れたから。
 俺はこれまで、恋愛に興味がなかったわけではなかった。でも近寄ってくる女性たちは、俺の容姿や京極グループというブランドにしか興味を示さない。そんなのはもううんざりだ。

 結局、俺の中身を見て好意を寄せてくれる女性などいないと、いつの間にか恋愛に対して失望してしまっていた。
 だけど、倉科さんはそんな女性たちとは全然違う。こちらの素性を隠しているとはいえ、ちゃんと対等に話してくれて、妙な下心もない。とても貴重な存在だ。

 白くてなめらかな肌と、口もとを軽く覆いながらフフッと笑う姿が本当にかわいらしい。その清楚な佇まいに反して、内側に秘めたゲームへの熱量に触れるたび、俺の心は揺さぶられていく。

 厳しい父や数字に追われる日常を忘れ、ひとりの男として、この無垢な笑顔をもっと近くで見ていたい。そんな衝動が胸の奥で静かに芽生えるのを感じた。俺は純粋に――彼女に惹かれている。

 少しずつ距離を詰めたい。ゲームの話がしたいからと理由をつけてお茶に誘ったら、快く応じてくれた。
 お茶の次は、日をあらためて食事がいいかな。そんなことを考えながら上機嫌で会社へ戻ったのだが……。
< 59 / 130 >

この作品をシェア

pagetop