敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「会社? お前は考えが甘い」

 案の定、ろくに話も聞かず、父はそんなふうに決めつけてきた。それは容易に想定できていたから驚かない。
 しかし、国がコンテンツ産業の振興を〝国策〟として進めているとわかると、俺にやらせてみてもいいと父は判断したようだ。

「京極の看板に泥を塗るなよ?」

 励ます言葉ならもっと適切なものがあるだろうに。父は血のつながった息子にも容赦なくシビアだ。

 俺は仲間たちとともに、じっくりと時間をかけて『セブンス・エリュシオン』をつくり、世に出した。
 売上は日に日に伸びていき、ゲームは空前の大ヒット。会社も急成長した。


「京極さん、セブエリなんですけど、ここのステージに〝隠し扉〟があるの知ってます?」

 セブエリ関連のグッズや書籍を多く扱ってもらっている玄武堂書店。
 市場調査も兼ねて時折訪れるようにしていたのだが、そこで出会ったのが倉科陽咲という店員だった。

 彼女はいわゆる〝オタク〟のようで、ゲームやマンガのことにくわしくて、いつも楽しそうに話してくれた。
 今はとくにセブエリにハマっていると聞いてはいたけれど、攻略本にものっていないような仕掛けにも気づくなんて……。驚くとともに、制作側としてはうれしくて仕方なかった。
 裏表がなく、ただ純粋に作品を愛してくれる彼女の瞳は、キラキラと輝いていてとても綺麗だ。
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