敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「いいよ。デリバリーを頼もう。俺が作ってもいいし」
「……碧人さん?」
「無理してほしくないんだ。陽咲が大事だから」

 うしろから抱きしめられたままコクリとうなずいた。
 普段は会社で人の上に立っている彼が、今は私ひとりのためにこんなにも必死になってくれている。本当に大事にしてもらっていると意識した途端、胸が痛いほど高鳴った。

 そっと息を整える。早鐘を打つ鼓動が彼に伝わるのではないかと不安になるけれど、今はこの腕から逃げ出したくない気持ちが(まさ)ってしまった。

 ◇◇◇

「陽咲さん、メガネやめて、コンタクトにしたんですか?」

 翌日、書店の休憩室でお弁当を広げていると、不意に賢也くんがそう尋ねてきた。普段どおり感情ののらない表情で、目線だけをこちらに向けてくる。

「コンタクトも慣れたら楽みたいだからね。でも、家ではメガネだよ」
「ていうか、なにかありました?」

 心の奥に隠していても見逃さないとでも言わんばかりに、彼は私の反応をうかがっている。

「え、とくになにもないけど。……なんで?」
「昨日、セブエリのイベントに行ったんですよね? それなのに全然話さないから。いつもなら俺が聞かなくても自分からしゃべるじゃないですか。上機嫌で」

 淡々とそんなふうに説明されたら、なんだかおかしくなってきてクスリと笑みがこぼれた。賢也くんは毎回あきれていたのかもしれないな。
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