敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「ずっとおかしいと思って、納得できずにいました」
「……え?」
「陽咲さんは、電撃婚なんて絶対にしないでしょう?」

 すべてを見透かすような視線を送られていると気づき、小動物のように肩をすくめた。
 たしかに、これまで恋愛に興味を示さなかったオタクの私が、電撃婚だなんて妙だもの。

「前にも言いましたけど、なにか困ってるなら俺に相談してほしいです。陽咲さんの力になりたい」
「心配かけちゃってたんだね。ごめんね」
「年下の俺は頼りないですか? だからあの人に助けを求めたんですか? それともなにか弱みでも握られてます? 利用されてるだけじゃないんですか?」
「ちょ、ちょっと落ち着いて?」

 早口で言葉を次から次へ投げつけられ、私は息を詰まらせた。違うと否定しようにも、次の問いかけが重なってなにも答えられない。

「落ち着けませんよ。もし陽咲さんが無理やり結婚させられたなら、許せないんで」

 そう言った賢也くんの声には、いつもの穏やかさは微塵もなかった。
 熱量を上げる彼に対し、私は取りつくろうことさえできず、下を向くしかない。

「俺が全力で力になります。俺だって、ずいぶん前から陽咲さんのこと――」
「賢也くん、ありがとう。でもそれ以上言っちゃダメだよ。私、結婚してるの。既婚者なんだよ」

 最後まで聞くべきではない気がして、あわてて賢也くんの発言を止めた。彼の性格を考えると、冗談でこんなことを口にはしないから。
 うぬぼれじゃないなら、彼はきっと私に告白するつもりだったのだろう。
 心配してくれたのはありがたいけれど、彼の気持ちには応えられない。だからこそ、きちんと線を引かなければいけないのだ。
 
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