敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 ◇◇◇

 数日後、早番での仕事を終えた私は、帰宅後いつものように家事を進めた。
 リビングとダイニングにさっと掃除機をかけたあと、乾いた洗濯物をソファーの上で畳み始めた。これが終わったら夕飯の支度をする予定だ。

『前にも言いましたけど、なにか困ってるなら俺に相談してほしいです。陽咲さんの力になりたい』

 あの日から、賢也くんとはあまり話さなくなってしまった。心配して手を差し伸べようとしてくれたのに、私が壁をつくったからだ。
 だけど、彼と特別な関係になるつもりはないから、誤解がないよう距離は保っておかなければならない。私はこれでも碧人さんの妻だもの。

『利用されてるだけじゃないんですか?』

 賢也くんからはいろいろ言われたけれど、あの問いかけが一番堪えた。

『俺たちの利害、一致してると思うけど?』

 あの日の碧人さんの言葉が、自然と脳裏に浮かんでくる。私たちは〝互いに〟利用し合っている――そう捉えることもできるよね。

『期間限定で俺の妻を演じてくれないか?』

 ほうっと息を吐き、背中を倒してソファーに沈んだ。
 あれって……いったいどれくらいの〝期間〟なのだろう? 一年か二年かな? 碧人さんはなにも言っていなかったけれど。
 そんなことを考えていたら、しだいに眠気に襲われて、そのまま意識を手放してしまった。
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