敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 来賓客たちは誰もが自信に満ちあふれ、私には理解できないビジネスの話に花を咲かせている。

(私……やっぱり浮いてるよね)

 圧倒的な場違い感に、すぐに逃げ出したい気持ちが湧いてきた。碧人さんが選んでくれた素敵なドレスを着ているはずなのに、このきらびやかな空間の重圧を押し返せそうにない。

「陽咲」

 自分の名前を呼ばれて顔を上げると、いつの間にか人の輪を抜けた碧人さんが、すぐ目の前に立っていた。

「碧人さん。お話はもういいんですか?」
「ああ、大丈夫。それより、表情が硬いな。緊張してる?」

 彼が気遣わしげに顔を覗き込んでくる。じっと見つめられ、私はごまかすのをあきらめて小さくうなずいた。

「皆さんすごく華やかだから……地味な私は場違いなんじゃないかと思って」

 碧人さんはグラスをそっと近くのテーブルに置くと、私の両手を優しく包み込んだ。彼の手の平の温もりがしっかりと伝わってきて、緊張が少しだけほぐれていく。

「そんなことはない。むしろ、今日の出席者の中で、陽咲が一番美しいと思うけど」
「もう……からかわないでください」

 周囲に聞こえないようなささやき声で、碧人さんは真面目な顔をしてそう言った。恥ずかしさで頬が熱くなる私を見て、彼はうれしそうに目を細める。
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