記憶障害の男と写真家の恋♡消せない過去
買い物を済ませた三人が家に帰り着くと、貞夫と愛斗は早速コーンフレークの袋を取り出し、封を開けて食べようとしていた。台所ではふみが夕食の支度に取りかかっている。愛斗は皿を取りにそちらへ向かうと、後ろからふみの体をぎゅっと抱き寄せ、首筋に柔らかく口づけた。
「……ん」
ふみが肩を震わせると、愛斗はゆっくりと頭を撫でてから、リビングへ戻ってコーンフレークを皿に盛り始めた。
「ご飯前だから、少しだけにしてね」
ふみが声をかけると、愛斗は素直に頷く。
「うん」
「もっと入れてもいいじゃないか」
貞夫が隣から口を出すと、ふみは笑って手を振った。
「あとでちゃんとカレーがあるから、今は少しだけで我慢してね」
「わかったよ」
愛斗はそう答えながら、ふみの方を見てにっこりと笑う。ふみも口元を緩め、声に出さず「ありがとう」と唇だけで伝えた。
それから三人はふみの作ったカレーを囲み、ゆっくりと食事を楽しんだ。食後は順番に風呂に入り、疲れが出たのか貞夫はすぐに寝室へ引き上げて眠りについた。
残された愛斗とふみはリビングでくつろいでいたが、やがて愛斗が立ち上がると、ふみを何も言わずにお姫様抱っこで抱え上げた。
「わっ、どこ行くの?」
「寝室だ。……ふみ、今日はすっぴんでもやけに色っぽいな。肌つやもよくて、すごく綺麗だ」
「そんなことないよ」
照れたように笑うふみをベッドに下ろすと、愛斗は自分の指先で、ふみが着ているパジャマのボタンを一つずつ丁寧に外し始めた。だが途中でふと我に返り、手を止める。
「……どうしてやめちゃうの?」
ふみが少し残念そうに問うと、愛斗は耳元に口を寄せた。
「貞夫さんに聞こえちまう」
「大丈夫、深く眠ってるから。それに……今日は色々あってストレス溜まっちゃったの。愛斗くんに甘えたい」
その言葉に後押しされるように、愛斗は再びボタンを外していく。襟元が大きく開くと、パジャマの布をそっと捲り上げ、下着が見える位置まで下ろした。
「ほら、愛斗くん好きでしょ?」
ふみは少し悪戯っぽく笑い、花柄のブラを見せつけるように体を動かす。
「ああ、好きだにあってるよ」
愛斗が熱っぽく口づけを重ね、自分のズボンのベルトに手をかけた、その瞬間だった。テーブルの上に置いてあったスマートフォンが突然鳴り出した。
「待って」
ふみが愛斗の肩を押さえて合図すると、慌てて電話に出る。画面には幸輝の名前が表示されていた。向こうでは真と稔の姿も見えているようだ。
「もしもし、ふみちゃん? 今話しても大丈夫かな?」
「何? 急に」
「明日、もっちゃんのところへちゃんと謝りに来てほしいんだ。あんな言い方をされてもっちゃんずっと落ち込んで泣いてたんだよ」
「……ふうん、そうなんだ」
ふみが生返事をしている間も、愛斗は我慢できないように、ふみの肌に唇を這わせ、手を回して抱き寄せる。
「あっ……待って」
「ふみ、早くセックスしよ」
愛斗は電話などお構いなしに、スマホを枕元に置くと、ふみの体をしっかりと抱き締めた。ふみは慌てて通話をスピーカーモードに切り替えたまま、愛斗の熱に身を任せていく。
「んっ……」
漏れる吐息が、次第に抑えの利かない甘い喘ぎ声へと変わっていく。
「ふみちゃん? ふみちゃん、聞いてるふみ」
電話の向こうから真と稔が何度も名前を呼びかけても、二人はその声など耳に入らないかのように、体を重ね合わせ、互いの体温を分け合い、深く愛し合っていった。
「あっんまなとくんあっだいすき」
「ふみ人の話を聞け」
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