逆転令嬢 捨てられた私は2度目で王太子のパートナーになる

家庭教師

どうやら、それは許されなかったようだ。
私は仕方なくアーノルドに向き直る。

「何の用ですか?お義兄様」
「お前、夜会で魔法覚醒者だと認められたくらいでいい気になるな!お前が認められたのは魔法が使えるからであって、お前自身じゃない!お前が魔法覚醒者だからだ!!」

(面倒臭いわね…。要するにただのやっかみでしょう)

私は内心ため息をつく。
アーノルドは夜会で私を陥れることに失敗した。
彼の計画では周知に自分をグロリア家の次期当主だと認めさせることに失敗して私に恥をかかされたものだから、その言い掛かりを今私につけに来たのだろう。
実に下らない。

「お話はそれだけですか。忙しいのでもう行きますね」
「この女…!!」

アーノルドは私に対して拳を振りかざし、顔を殴ろうとした。
その瞬間、パリーンとした音と共に私とアーノルドの前に一枚の透明な氷の壁が隔たれた。

「ぐっ……!!」
私を殴ろうとした彼の手は代わりに氷の壁に当たってしまい、鋭い痛みを伴っていた。
左手で右手を押さえながら、アーノルドは声にならない声をあげる。
確かに痛いだろう。
氷の壁だし。

だが先に手を出してきたのは相手の方だ。
一応手加減はしており、怪我も大したことはないはず。
だけど先に手を出すなんて自業自得だ。

「私に構う暇がありましたら勉学に励んだら如何ですか?剣術だけでは次期当主になれませんよ」

私はそう短く告げると、さっさとその場を後にする。
後ろでアーノルドが何か喚いているが、そのような言葉はスルーする。
彼の押し問答に付き合う義理もこっちにはない。

私は自室に戻ると息を吐き出した。
「はぁ~~疲れたぁ~~」

お父様に直訴して、アーノルドに出くわすなんてツイてない。
だけど、これで教養が学べる。
私は机に近づき、席に座って勉学をする。
机の上には大量の本、書物の数々。
グロリア家にある書物から図書館で借りた物まである。

家庭教師が来るまで間、自分でできる限りのことをやっておこう。
知識は何れ私の助けとなってくれる。
前回と違い、今世では知識をつけなくては。
私はそう思い、勉強に没頭し始めたのだった。

「素晴らしいです!お嬢様!!」

二週間後。
私に宛てがわれた家庭教師のガペラ夫人は教科書の問題を次々に解く私を見て感激しながら褒めた。

「貿易に纏わる問題、数学式に関することまで解くなんて天才です!普通の子供ならこんなことできませんわ!」

「恐縮です…」

絶賛するガペラ夫人に対して私は大人しく謙虚な態度で返した。
年は30代半ば美しいハニーブロンドを後ろに結い上げ、つり目のエメラルドグリーンに知的な美人を思わせる人物。
それが私の家庭教師でたるガペラ夫人だ。
彼女は昔、王宮の王太子達の教師をしていた経験があったが今は訳あって、私の家庭教師となっている。
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