逆転令嬢 捨てられた私は2度目で王太子のパートナーになる

夜会の目論見

声を掛けられて後ろを振り向くと、そこには義妹のブレンダがいた。
海のように綺麗で美しい髪に空色の瞳。
小柄で天使のような愛らしさと、おっとりとした雰囲気を兼ね揃えている。

「そのドレスとても素敵です!」
「ありがとう…」

無邪気に笑う彼女に私はぎこちなく笑う。
今の私はパーティー用にあしらわれていた清楚な純白のドレス、ネックレスを身につけ、花の髪飾りを付けている。
この日の為に私が侍女に用意して貰ったものだ。

魔法覚醒者のパーティーの為だから父も苦言はせず、金額を出した。
義母とアーノルドだけが二人「こんな奴のために用意する必要はない!」と騒いでいたがスルーした。

(でも、この子だけはいまだに掴めないのよね……)

私はチラッとブレンダを見る。
前世で彼女はアーノルドと一緒にいた時は私のことを虐げていたが、アーノルドがいない間は私に手を出してこなかった。
それどころか目が合うといつも悲しそうな顔をして、顔を逸らし、私の前から消えていった。

だけど今世では彼女はアーノルドと一緒に行動せずに距離を取っている。

ブレンダは前世と今世では違うのかしら…。

「お義姉様が魔法を使えたなんて知りませんでした!」

ブレンダは少しだけ遠慮がちに乞うように私に話す。

「今まで本当はお義姉様と仲良くなりたいと思ってましたけど、お兄様とお母様が近づくなと言っていたので遠慮していたのです。お義姉様は覚醒者だったから、一緒にいても良いのです。だから私と仲良くして下さい」

「そうね…」

私は彼女に対して苦笑する。
ブレンダの気持ちは理解できた。
あのクズな親子なら娘にそのようなことを吐き捨てるだろう。

だけど私は前世でアーノルドのせいで命を落としている。

例えブレンダの言葉が真実だとしても今すぐ彼女を信用することは出来ないかもしれない。

「あっ、そうでした!」
ブレンダはドレスのスカートのポケットからゴソゴソと何かを取り出し、私に銀色の腕輪を差し出した。

「お父様からお義姉様にこちらを渡すように頼まれていました。どうぞ」

「腕輪…?」
「何でも、高価な腕輪のアクセサリーで魔法覚醒者なら身につけておくようにと…」

(お父様が私に?もしかしてこの子、私に何か仕掛けているんじゃあ……)

一瞬、ブレンダを疑ったがそれはすぐやめた。
彼女はアーノルドのような狡がしっこさはないし、当主の座に興味が無いはずだ。
私を陥れて彼女に得がない。

「ありがとう。受け取っておくわ」
そう言って私はブレンダから受け取った銀色の腕輪を嵌めた。

「それじゃあ、そろそろ行くから」
「はい」

私は彼女にそう言うと一人その場を後にした。


****

レイティシアが去った後。
ブレンダは小さくなる姉の後ろ姿を見ながら、不思議そうに小首を傾げる。

「これで良かったのかしら?」

取り敢えず自分の役目は果たした。
今はパーティーを楽しもう。
そう思い、近くのテーブルにあるドリンクを取りに向かったのだった。
< 6 / 11 >

この作品をシェア

pagetop