うちら4人幼馴染、2人の両片思いたちが不器用すぎる!

暗闇の15センチ、ゼロになる距離

楽しい夏休みが終わり、新学期が始まった。
過ごしやすい秋の風が吹く10月のある日、私たちは4人で新しくできたショッピングモール内の映画館へ行くことになった。
観るのは、今大ヒット中の恋愛映画。
「私、ポップコーン買ってくるから、みんな先に席行ってて!」
そう言って、瑠香ちゃんが春馬くんを引っ張って売店へ走っていった。
手渡されたのは、4枚の座席チケット。
「えっと……座席は……」
私と空くんが並んでシアター内に入り、チケットを確認する。
3列目の「7番」と「8番」。そして、少し離れた4列目の「11番」と「12番」。

「あ、あれ……? 瑠香ちゃんたちと席が離れてる……?」
「あいつら、何考えてんだよ……」
空くんが呆れたようにため息をつく。
でも、手元に残されたのは連番の2枚。つまり、この薄暗いシアターの中で、私と空くんは2人きりで並んで座るということ。
「……行くぞ」
「う、うん」
席に座ると、すぐ隣に空くんの気配を感じて、映画が始まる前から心臓がバクバクと音を立てる。
しばらくして、瑠香ちゃんと春馬くんがポップコーンを抱えてやってきた。だけど、彼らが座ったのは後ろの離れた席。瑠香ちゃんは私と目が合うと、暗闇の中でニヤリと不敵な笑みを浮かべて親指を立てた。
やがて場内が完全に暗転し、大きな音とともに映画が始まった。
大画面に映し出される切ないラブストーリー。
でも、今の私は映画の内容なんて半分も頭に入ってこない。
なぜなら、座席の共有アームレスト(ひじ掛け)の上に、空くんの右腕があるから。私の左腕との距離は、わずか数センチ。
どうしよう、ドキドキして息が上手くできない……。
そう思った瞬間、映画の中で大きな爆発音が響いた。
「ひゃっ……!」
思わず身体をビクッと震わせてしまった私。
その拍子に、私の左手が、アームレストに置いてあった空くんの手の上に、完全に重なってしまった。
「あ、ごめ……っ」
慌てて手を引っ込めようとした、その時。
ぎゅっ。
不意に、空くんの大きな手が私の手を包み込んだ。
驚いて横を向くと、空くんは画面を見つめたまま、だけど耳の先を真っ赤に染めている。
「……動くな。映画に集中させろ」
ぶっきらぼうに呟かれた言葉。だけど、握られた手からは、空くんの規則正しい、少し速い鼓動が伝わってくる。
物理的な距離が、完全にゼロになった。
映画館の暗闇の中、私たちはエンドロールが流れるまで、ずっと手を繋いだままだった。
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