桜の木の下で、出会った僕たち
 今日は咲良とのデートの日だ。
 僕たちは最寄駅に集合した。目的地は桜が見れる大きな広場。桜はだいぶ散ったけどまだ残っている桜を検索して行くことになった。正直ネットにまだ咲いていると書いていたけど、本当かは分からない。
「今日さ、桜咲いてるかな?」
 ホームで電車を待つ間に咲良はそう言った。
「まだ咲いてそうだけどな〜。咲いてなかったらだいぶショックだけどな」
「ほんとに。まあその場合は近くのモールでショッピングしよ」
「はーい。咲良は買い物ばっかりだからなー」
「いいのいいの。あ、なんか咲いてなかったら見たいな話だったけど、咲いてても行くからね」
 咲良はふっと小さく笑う。僕は特に行きたい所もないからいいけど。咲良と一緒ならどこでも良いなんて素敵なセリフは恥ずかしいから言わない。
「わかったわかった。あ、咲いてそう」
 電車から目的地の広場を見ると、ピンク色の桜がたくさん咲いていた。
 僕たちは暑い日差しが差す中、日傘の中を歩く。僕が日傘を持って、咲良がハンディファンを持つ。
 他の人が見たら睨まれそうな幸せな空間にいると感じる。
「なんかきれいに咲いてて良かったね」
「本当に。やっぱり桜ってきれい」
「桜?咲良?どっちがきれいだって?」
 ムッとした表情を作った咲良が僕を見る。僕を見上げながら作るその表情はいつ見ても可愛い。
「もちろん両方だよ」
 そう言った後に、いや私でしょ、と咲良が小さく言って拗ねていた事を知っている。全てが可愛いでまとめてしまう。

 僕たちは一番満開の桜の木の下に到着し、カメラをカバンからそっと取り出した。
 その時に風がふわりと吹いて、桜の花びらがカバンに少しだけ入る。まあお土産だと思おう。そうポジティブに。
 最初に僕が咲良と桜のツーショットを何枚か撮り、その後咲良が僕を撮ると言い、僕と桜のツーショットを撮った。お互いに写真が好きだからその内写真部とかに入ろうかなと考えてみたりする。
 写真部に入ればきっと撮る場所、撮る物を決められるだろうから、まあいいかとさっき考えたことを取り消す。
 桜の下でレジャーシートをひいて、コンビニで買ったお弁当を二人で食べる。
 するとまた風が吹いて桜の花びらがお弁当に降ってくる。
「桜の花びらは可愛くて好きなんだけど、食べるのはあんまりだよね?」
「意外と美味しかったりして?」
「じゃあ咲良食べてみてよ〜」
「いや私は嫌だよー光が食べてみてよ!」
 そんな冗談を言い合いながらお昼を楽しむ。
 いつも一人で家で食べる時はこれほど美味しく感じないけれど、今日はこの唐揚げ弁当が美味しくてたまらない。きっと咲良と一緒だからだろう。
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