終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
あたしは気持ちを切り替えて、必要なものを出していく。
すると、「すげぇ」という声に、あわてて振り返る。
「ちょっ!勝手に寝室のぞくなっ!」
「壁一面とか初めてみた。これがいち様?」
「いやぁぁぁ!死ぬっ!」
「大げさだな」
「うるさいっ!祭壇なんて引くくせにっ」
「祭壇?」
「だからこれっ!」
「あぁ」
「これ祭壇って言うのか」
物珍しげに、でもまじまじと、並べてあるアクリルスタンドやぬいぐるみ、ペンライトなどを眺めている。
綾人は、その中のひとつを手に取り、吹き出しを読む。
「『今夜は寝かさないよ?』」
「んんっっ!!!」
「志穂~?」
(綾人でもそのセリフは反則っ!)
推しのアクリルスタンドと、それを見ている鑑賞用の王子。
あたしがそのビジュに弱いの、知ってて言うとか悪魔か。
羞恥心や嬉しいやらで、涙目のあたしに、綾人はくつくつと笑う。
「……引かないの?」
「だから何で引くんだよ」
「普通は引くの!」
「好きなもんに金も時間も使える方がすげぇだろ」
並べられているぬいぐるみを手に取る。
「良いじゃん。それだけ全力なんだろ。引くわけねぇよ」
「……じゃあ、綾人の家に持ってっていいの?」
「なんなら、これごと持ってくか?」
「……さすがに無理でしょ」
「じゃあ週一で会いに来ればいいだろ」
「いち様に?」
「そっちじゃねぇ」
元カレに「子供っぽい」って笑われて、寝室に隠した大切な世界。
それを、綾人は当たり前みたいに、表に引っ張り出してくれる。
「ふふっ……」
綾人の部屋にいち様だなんて、似合わなさすぎて、思わず吹き出した。
小さくゆるむあたしの頬が、むにっと摘ままれた。
「遠慮しなくていいから。手、動かせ」
絶妙な力加減に、綾人の優しさと照れ隠しが見えた気がした。
すると、「すげぇ」という声に、あわてて振り返る。
「ちょっ!勝手に寝室のぞくなっ!」
「壁一面とか初めてみた。これがいち様?」
「いやぁぁぁ!死ぬっ!」
「大げさだな」
「うるさいっ!祭壇なんて引くくせにっ」
「祭壇?」
「だからこれっ!」
「あぁ」
「これ祭壇って言うのか」
物珍しげに、でもまじまじと、並べてあるアクリルスタンドやぬいぐるみ、ペンライトなどを眺めている。
綾人は、その中のひとつを手に取り、吹き出しを読む。
「『今夜は寝かさないよ?』」
「んんっっ!!!」
「志穂~?」
(綾人でもそのセリフは反則っ!)
推しのアクリルスタンドと、それを見ている鑑賞用の王子。
あたしがそのビジュに弱いの、知ってて言うとか悪魔か。
羞恥心や嬉しいやらで、涙目のあたしに、綾人はくつくつと笑う。
「……引かないの?」
「だから何で引くんだよ」
「普通は引くの!」
「好きなもんに金も時間も使える方がすげぇだろ」
並べられているぬいぐるみを手に取る。
「良いじゃん。それだけ全力なんだろ。引くわけねぇよ」
「……じゃあ、綾人の家に持ってっていいの?」
「なんなら、これごと持ってくか?」
「……さすがに無理でしょ」
「じゃあ週一で会いに来ればいいだろ」
「いち様に?」
「そっちじゃねぇ」
元カレに「子供っぽい」って笑われて、寝室に隠した大切な世界。
それを、綾人は当たり前みたいに、表に引っ張り出してくれる。
「ふふっ……」
綾人の部屋にいち様だなんて、似合わなさすぎて、思わず吹き出した。
小さくゆるむあたしの頬が、むにっと摘ままれた。
「遠慮しなくていいから。手、動かせ」
絶妙な力加減に、綾人の優しさと照れ隠しが見えた気がした。