WATCH.
振り向くと神妙な面持ちの佐野。
「え、本当になに?」
「……いや」
色気が無いと私にまた言いたいのか、それとも他に言いたいことがあるのか。
悩みがあるとすれば、ひとつだけ思い当たる。
掴まれた方の手で、佐野の肩をぽんと叩いた。
「大丈夫」
「え?」
「佐野ならすぐに彼女できるって」
え、の形のまま口が止まり、私は「じゃーねー」と改札を通った。振り返ることなく、乗る電車のホームへと階段を上っていく。
これを最後にしようと決めた。
佐野と飲むのはこれで最後だ。
会社にいると驚くほど佐野と会うことは無い。