WATCH.
WATCH.
「いま何時?」
尋ねると佐野は袖を少し捲くって腕時計を確認する。
その姿が見たいだけの為に聞いているとこがある。
「23時ぴったり」
「え、もう?」
予想していなかった答えに背筋を伸ばし、結局自分のスマホを確認した。時間を聞いた意味なんて少しも無くなった。それに佐野がどう思っているのかは分からない。
スマホを置いて鞄から財布を出そうとした手を掴まれた。
「帰んの?」
「終電あるし」
「朝まで付き合えよ、傷心中なんですけどこっち」
「大丈夫。あんたなら来週には新しい彼女できてるから」
彼女に振られたから飲みに行こうと言われたのは昼休憩の終わり間際。