WATCH.
駅で待ち合わせした佐野は既に着いていた。
社内で見るネクタイとは違う色。
「おはよう」
「華やかだ」
挨拶よりも感想が先だった。流石に参列するのだからモノクロじゃないドレスを選んだ。
どうも、と裾を持ってみる。佐野が少し笑った。
「時計は?」
「んーまだ買ってない」
そんな会話をしたな、と思い出す。徐に佐野が自分の腕へと視線を落とした。時間を教えてくれるのだろうとその姿を見る。
袖を少し捲くった手で腕時計を取る。
それがこちらへ差し出された。反射的に手を出す。
「はい」
「ん?」
「やる」
「んん?」