雨上がりと美少年
靴を履いて昇降口を出ていくとパラパラと雨が降っていた。
屋根のあるステップに、恭くんは先に傘を出して待っていた。
ぱらり、と音を立てて傘を開きながら、恭くんがいきなり言った。
「山井さん、僕ってヴァンパイアなんだ」
「はい?」
「1000年生きてる。毎日少しずつ血を呑んでる。」
ぽかんとしている私を見下ろして、恭くんがまただしぬけに言った。
「山井さん、僕の顔好きでしょう。」
「え、うん」
恭くんは傘を揺らしながら。
「それなら後1000年は一緒に居てよね。1000年じゃないなら100年。」
「それって告白なの?」
私が聞くと、恭くんはしかめっ面を作った。
「顔が好きなんでしょう。」
それから言った。
「山井さんの面食い。適当に窓見て見せて釣ったら付いてきた。あれわざとだよ。感じ悪い。」
「え」
「顔ばっかり見ないで。ちゃんと僕を理解してよ。分かってよ。僕の事。何を思ってるかとか。ちゃんと。」
「中も好きだよ。」
慌てて言うと、恭くんは美しい仏頂面でなら良い、と言った。
「1000年後って、どんな風かな」
「さあ。僕は今が大事だから。少なくともこの雨はあがってて貰わないと。」
雨音を聞きながら、私達は2人の世界に居るつもりで、近い近い将来についての話をしたのだった。
おわり

