カフェオレでも飲みながら




 夕方、私は文芸クラブに来ていた。
 学校から伊織と一緒に帰るとき、クラブを見学に行こう、と誘われたのだ。

 前にうっかり文芸クラブなら、と言ってしまったのを、伊織は覚えていた。



 今日は自転車で、伊織と学校に来ている。





 教室に着くと、十人くらい、女子ばかり集まっていた。

 先生にカルチャーセンターの講師が来てくれている。

 思ったことを思ったように書くのは案外難しい。

 なんの気負いもなくまずやってみる事だそうだ。





 課題にショートストーリーが出された。

 私はうまく書けず、悩んだが、机に向かって、それでも一応書きだした。






 学校の広場について。とりとめない空想のストーリー。






 時間になっても文芸クラブは終わらなかった。



「失礼します」



 静かな教室に伊織の声がしたと思うと、戸がちょっとだけ開いたので、私は、机に向かったまま耳を澄ませた。



「朝田さん」



 講師に呼ばれて、私は一足先に伊織と帰ることになった。



「何話してたの?」



 夕方を過ぎて暗くなった校舎から出て、自転車を押しながら伊織に聞いた。




「別に。遅くなると親が心配するって言っただけ。」

「剣道どうだった?」

「いつもと一緒。楽しかったよ。朝田さんはどうだったの?」

「うーん、どうなんだろ」




 私は、街頭に照らされる通学路を見た。



「楽しいのか、分かんない」

「そう。続ける?」

「…うん、しばらくは」




 伊織が言った。



「そっか。やった。僕朝田さんとこの時間居れるの楽しみ。毎回迎えに行ってあげるよ。」







< 5 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop