春は眩しくて、届かない
陽奈は少し照れたように笑って、ベンチから立ち上がった。
「私たち、本当のこと言える仲でよかったね」
夕方の光が、陽奈の横顔をやわらかく縁取る。
「りのん、大好きだよ」
その言葉は軽いみたいで、でもちゃんと重さがあった。
一瞬だけ目を瞬いて、それから小さく笑う。
「……うん。私も」
声はちゃんと出たのに、少しだけ遅れた。
気づかないまま、にこっと笑う。
「じゃ、帰ろっか」
「うん」
ふたり並んで歩き出す。