春は眩しくて、届かない



——水瀬のこと、前から気になってる。



柏木くんの声を思い出す。


胸はまだ痛む。
思い出すだけで、ちゃんと苦しい。


でも同時に、
別の気持ちも胸の中に残っていた。


りのん。



「ひなの恋、応援したい」



笑って言ってくれた声。


本当は苦しかったはずなのに、
ちゃんと背中を押してくれた。


陽奈は布団をぎゅっと掴む。



「……私も」



小さく呟く。



「りのんのこと、応援しなきゃ」



その言葉を口にした瞬間、
胸の奥が少しだけ痛んだ。


でも、不思議と嫌な痛みじゃなかった。


< 129 / 264 >

この作品をシェア

pagetop