春は眩しくて、届かない
しばらく沈黙。
風が揺れる。
そのあと、 柏木くんが静かに立ち上がった。
「今日は、わざわざ鈴野との時間もらって悪かった」
「え?」
「話したいことあったけど」
「今日はやめとく」
少しだけ目を瞬く。
柏木くんは少し笑った。
「ありがとう、水瀬」
その声が、 思っていたより優しくて。
小さく息を飲む。
去っていく背中を見ながら、 胸の奥が静かに熱くなる。
風が吹く。
木漏れ日が揺れる。
胸元をぎゅっと掴んだ。