春は眩しくて、届かない
「……りのんさ」
「ん?」
「最近、ちょっと変わったよね」
手が止まる。
「え」
「前よりちゃんと楽しそう」
窓の外では、 冬の夕方がゆっくり暗くなり始めていた。
陽奈はやわらかく笑う。
「柏木くんと話してる時のりのん、好きだよ」
その言葉に、 少しだけ照れたみたいに目を伏せる。
「……まだ、全然だよ」
「何が?」
「気持ちとか、うまく言えないし」
“好き”って言葉は、 今でも喉の奥で引っかかる。
柏木くんが隣にいるだけで嬉しくて、 LINEが来るだけでちょっと浮かれて、 一緒に帰れた日は寝る前まで思い出
してしまう。
でもそれを、 “恋です”ってちゃんと口にするのはまだ怖かった。
でもありがとう。
それなら、 今の自分でも伝えられる気がした。