春は眩しくて、届かない
最初はただ、 “柏木くん”だった。
人気者で、 少し遠い存在で。
一緒に帰れただけで嬉しくて、 LINEが来るだけで心臓が跳ねて。
図書館で勉強して、 雪の日を過ごして、 バレンタインで勇気を出して。
気づけば。
“湊くん”になっていた。
「……ほんとだね」
陽奈はそんなわたしを見て、 嬉しそうに笑う。
「りのん、今年いっぱい頑張ったもん」
「え」
「好きになるの怖かったくせに」
「う……」
「ちゃんと向き合ったじゃん」
りのんは少し黙って、 それから照れたみたいに笑った。