春は眩しくて、届かない
「……わたし、もともとは春好きじゃなかった」
「ん?」
「春って、出会いがあるけどその分ひとりになっちゃう人もいるから」
クラス替え。 環境の変化。 置いていかれる感じ。
わたしはずっと、 その季節が苦手だった。
「わたしも、そのひとりだったし」
湊くんは何も言わず、 隣で静かに聞いてくれる。
「でも」
「湊くんと出会えたこの季節が、今は一番好き」
桜も。 春の空気も。
全部。
好きになれた。
湊くんは少し照れたみたいに笑って、 繋いだ手を軽く握る。
「……それ、反則」
「なんで?」
「好きが増えるから」