春は眩しくて、届かない
それから、会話は自然と途切れた。
でも、不思議と気まずくない。
シャーペンが紙を走る音。 ページをめくる音。 ときどき誰かが椅子を引く小さな音。
静かな図書館の空気の中で、 お互い無理に話さなくても落ち着いていられた。
柏木くんは時々問題集に眉を寄せて、 りのんは英単語帳に小さく印をつける。
そんな時間が、思っていたより心地いい。
気づけば、窓の外は薄暗くなっていた。
夏の空は長いはずなのに、 図書館の中にいると時間が過ぎるのが早い。