春は眩しくて、届かない
周りにいた女子たちが、小声で話している。
「2年の子らしいよ」
「え、めっちゃ可愛くない?」
「絶対いけるってあれ」
陽奈はなぜか、その会話を聞きたくなくて視線を逸らした。
でも耳だけは、勝手にあの場所へ向いてしまう。
「……好きです」
小さな声が、風に混ざって届いた。
胸の奥が、ぎゅっとなる。
——なんで。 自分でも意味がわからない。
柏木くんが告白されるなんて、 今まで何回も見てきたはずなのに。
なのに今日は、その光景を見ているのが少し苦しかった。
かわいい子だった。
多分、すごくいい子なんだと思う。
柏木くんと並んでいても、お似合いだった。 なのに。
「……っ」 胸の奥が、変にざわつく。
見たくない、って思ってしまった。
その瞬間。 女の子が小さく頭を下げる。
柏木くんが何を言ったのかは聞こえなかった。
でも、その子が少し寂しそうに笑ったことで、答えは分かってしまった。