春は眩しくて、届かない

変わっていく日常 りのんSide



ホームルームが終わると、教室が一気に騒がしくなる。



「ねえ、インスタやってる?」



「去年何組だった?」



あちこちで会話が広がっていく中、私は机に置いたスマホをぼんやり見つめていた。



――陽奈、ちゃんと馴染めてるかな。



いや、陽奈なら大丈夫か。


むしろ心配されるのは、きっと私の方だ。


そう思って、小さく苦笑する。


そのとき。


ぴこん。


通知音が鳴った。



『りのん元気!?』



『お昼の時間いつものとこで!!』



陽奈からだった。


たったそれだけなのに、不思議なくらい胸の奥が軽くなる。


私は思わず、小さく笑った。



――ああ、大丈夫。



私たちは、ちゃんといつも通りだ。


昼休みまでの時間は、思っていたよりあっという間だった。


新しい教科書が配られて、簡単な自己紹介をして。


気づけば、窓の外が少し明るくなっていた。


昼休みを告げるチャイムが鳴る。


周りが一気に立ち上がる音の中で、スマホが震えた。



『迎え行こっか?』



陽奈からだった。


その文字を見て、私は小さく笑う。


すぐに返信を打った。



『ううんわたしのクラス昼休みの後は移動教室だし、わたしがひなの教室迎え行くね』



送信すると、すぐに既読がつく。



『え、なにそれ優女』



『はやくきてー!』



思わず口元が緩む。



――やっぱり、陽奈といると落ち着く。


私はスマホを制服のポケットにしまって、静かに席を立った。


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