春は眩しくて、届かない
……ほんとは、全部知ってる。
でもそれを言うと、何かが壊れそうで。
「ひなさ」
「ん?」
「最近、楽しそうだね」
その言葉に、陽奈の頬がほんの少しだけゆるむ。
「え、そう?」
「うん。なんか前よりもかわいい」
即答すると、陽奈は少し照れたみたいに笑った。
「ほんと?うれしい、……なんていうか...ちょっとね」
そのちょっとが、昨日の夕焼けと重なる。
わたしは視線をオレンジ色の木へ逃がした。