財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
リムジンの窓から流れていく街並みを眺めながら、私は一言も口を開かなかった。

運転手の佐々木も気まずそうにしていたけれど、それでも私に謝るつもりはないらしく、ただ黙って運転しているだけだった。

本当なら今頃、陽菜と一緒にファミリーレストランへ向かっているはずだった。

陽菜がアルバイトをしている姿を見て。

ドリンクバーというものを体験して。

新作のパフェを食べて。

学校の友達と当たり前の放課後を過ごしているはずだった。

それなのに私は今、いつも通りリムジンに乗せられ、いつも通り屋敷へと連れ帰られている。

窓に映る自分の顔を見ながら、私は小さくため息を吐いた。

まるで鳥籠に戻される小鳥みたいだと思った。

もちろん、そんなことを口にしたら紫苑兄様も玲央兄様も悲しむでしょう。

二人とも私を愛してくれていることは分かっている。

それでも。

愛されることと自由であることは、どうやら別の話らしいわね。

西園寺邸へ戻ると、休む暇もなくレッスンが始まった。

英語。

フランス語。

スペイン語。

バイオリン。

テニス。

どれも幼い頃から続けているもの。

そしてどれも私自身が選んだものではない。

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