財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
本音を言えば家庭教師だけで十分だ。

 オンライン授業でも構わない。

 大学だって別に行く必要はない。

 安全な場所で生きていければそれでいい。

 怪我をする可能性も。

 嫌な思いをする可能性も。

 誰かに泣かされる可能性も。

 全部なくなる。

 それの何が悪いのか、俺にはさっぱり分からなかった。

 西園寺家には一生かかっても使いきれないほどの金があるんだし。

 涼介は遠い目をしている。

 「あーもう、お前のファンが可哀想になってくる」

 「あ?」

 「テレビでは愛想振り撒いてるのに妹ちゃんのことになったらすぐこれだもんなぁ」

 俺は鼻で笑いながらソファに深くもたれ掛かった。

 「何言ってんだ」

 「ん?」

 「俺は正真正銘、大人気アイドルBLAZEの不動のセンターで、顔も性格も完璧な王子様のREOだけど何か?」

 涼介は数秒間黙り込んだ。

 そして。

 「はーい。もういいや」

 完全に諦めた声だった。

 俺は肩を竦める。

 別に理解されなくても構わない。

 どうせ誰にも分からない。

 六花は特別だ。

 世界中の誰よりも。

 だから守らなければならない。

 俺が。

 誰よりも。

 何よりも。

 それが当たり前だと思っていたし、その考え方が歪んでいるなどとは、俺は欠片も思っていなかった。

【side 玲央 fin 】
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