【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
結局。
一番無難そうなパスタにした。
これなら失敗しないだろう。
俺はラーメン。
翼はとんかつ定食。
碧は天津飯。
それぞれ料理を受け取り、
トレーを持って席へ戻る。
遠くから六花の姿が見えた。
執事とボディーガードに囲まれている。
その光景だけ見ると、どこかの国のお姫様みたいだった。
いや、実際かなり近いのかもしれない。
しかし、六花はそんな周囲のことなど気にせず、相変わらずフードコートを見回していた。
子供みたいに。
好奇心丸出しで。
なんというか。
危機感がない。
俺たちが席へ近付く。
「買ってきたぞ」
六花の顔がぱっと明るくなった。
「ありがとうございます!」
その笑顔に少しだけ驚く。
こんなことでここまで喜ぶのか……。
俺は六花の前へパスタを置く。
「どうぞ」
「わぁ……」
六花は目を輝かせていた。
高級レストランへ連れて行ったわけでもない。
数百円のパスタだ。
それなのに、本当に嬉しそうだった。
その反応を見て、なぜか少しだけ得した気分になる。
だって、俺が選んだ料理だから。
翼がとんかつ定食を、碧が天津飯を置いて、ようやく全員の料理が揃った。
ところが、誰も食べ始めない。
理由は簡単だった。
六花が動かないからだ。
俺は首を傾げる。
「どうした?」
六花は返事をしない。
代わりに。
じーっと。
俺のラーメンを見つめていた。
本当にじーっと。
凝視している。
「……何?」
思わず聞く。
六花は我に返ったように瞬きをした。
「いえ」
そして少し恥ずかしそうに言う。
「本物を初めて見ました」
沈黙。
翼が箸を落とした。
碧が俺も固まった。
3つ子だけあってこう言う時の連携はバッチリ。
「ラーメンを?」
「はい」
「テレビとかでは?」
「あります」
「食ったことは?」
「ありません」
「一回も?」
「一回も」
六花は平然と答える。
俺たちは顔を見合わせた。
そして同時に思う。
このお嬢様、想像していたよりずっと重症かもしれない。
【side 蓮 fin】
一番無難そうなパスタにした。
これなら失敗しないだろう。
俺はラーメン。
翼はとんかつ定食。
碧は天津飯。
それぞれ料理を受け取り、
トレーを持って席へ戻る。
遠くから六花の姿が見えた。
執事とボディーガードに囲まれている。
その光景だけ見ると、どこかの国のお姫様みたいだった。
いや、実際かなり近いのかもしれない。
しかし、六花はそんな周囲のことなど気にせず、相変わらずフードコートを見回していた。
子供みたいに。
好奇心丸出しで。
なんというか。
危機感がない。
俺たちが席へ近付く。
「買ってきたぞ」
六花の顔がぱっと明るくなった。
「ありがとうございます!」
その笑顔に少しだけ驚く。
こんなことでここまで喜ぶのか……。
俺は六花の前へパスタを置く。
「どうぞ」
「わぁ……」
六花は目を輝かせていた。
高級レストランへ連れて行ったわけでもない。
数百円のパスタだ。
それなのに、本当に嬉しそうだった。
その反応を見て、なぜか少しだけ得した気分になる。
だって、俺が選んだ料理だから。
翼がとんかつ定食を、碧が天津飯を置いて、ようやく全員の料理が揃った。
ところが、誰も食べ始めない。
理由は簡単だった。
六花が動かないからだ。
俺は首を傾げる。
「どうした?」
六花は返事をしない。
代わりに。
じーっと。
俺のラーメンを見つめていた。
本当にじーっと。
凝視している。
「……何?」
思わず聞く。
六花は我に返ったように瞬きをした。
「いえ」
そして少し恥ずかしそうに言う。
「本物を初めて見ました」
沈黙。
翼が箸を落とした。
碧が俺も固まった。
3つ子だけあってこう言う時の連携はバッチリ。
「ラーメンを?」
「はい」
「テレビとかでは?」
「あります」
「食ったことは?」
「ありません」
「一回も?」
「一回も」
六花は平然と答える。
俺たちは顔を見合わせた。
そして同時に思う。
このお嬢様、想像していたよりずっと重症かもしれない。
【side 蓮 fin】