【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて

BLAZEドームツアー

【side 碧】

正直に言うと。

最近の僕は少しおかしかった。

いや。

かなりおかしかった。

理由は分かっている。

六花だ。

六花が笑うと嬉しい。

六花が褒めてくれると嬉しい。

六花が誰かと楽しそうに話していると気になる。

特に、蓮。

あいつが六花に近付くと面白くない。

あいつは距離が近すぎる。

理由は簡単だった。

僕は六花が好きだ。

たぶん。

いや。

絶対。

だから決めた。

僕が六花の夫になる。

翼にも蓮にも渡さない。

そう決めた。


東京ドームライブ当日。

僕たちは関係者入口から会場へ入っていた。

六花は朝から少し緊張している。

「すごい人……。」

ドーム周辺には何万人ものファンが集まっていた。

グッズ売り場。

写真撮影スポット。

巨大ポスター。

どこを見ても人だらけ。

「玲央さんって人気なんだな。」

翼が感心したように呟く。

「当たり前だろ。」

蓮が笑う。

「テレビでもよく見るし。」

僕も頷いた。

実際。

玲央さんは凄い。

アイドルとしても俳優としてもモデルとしても活躍している。

顔面は言わずもがなだし、高身長だし、学歴も国内最高レベルだ。

ほんとに意味が分からないくらいスペックが高い。

僕が男でも認める。

腹立つけど。

そんなことを考えているうちに。

ライブが始まった。

会場が暗転する。

悲鳴のような歓声。

そして。

ステージ中央に光が集まる。

そこに立っていたのは、BLAZEのセンター、REOだった。

「うわ……。」

思わず声が漏れた。

六花も隣でその大きな目をさらに大きく見開いて固まっている。

テレビでは何度も見ていた。

だが、実物は別格だった。

圧倒的。

その一言だった。




グループ全員がイケメン。

全員がスター。

なのに。

自然と目が玲央さんへ向かう。

笑顔一つ。

指先一つ。

それだけで数万人の視線を支配していた。

六花も呆然としている。

そして小さく呟いた。

「……すごい。」

「ん?」

「普段はあんななのに。」

僕は思わず吹き出しそうになる。

確かに、普段の玲央さんは。

『おいブス』

『バカ』

『どけ』

らしい。

しかし、ステージ上では、完璧な王子様だった。

「キャラ違いすぎない?」

僕が言う。

「それなぁ。」

蓮も頷く。

六花は真面目な顔でステージを見つめていた。

「でも。」

「?」

「やっぱりお兄様は別格だと思います。」

その言葉に。

僕たちは少し黙った。

たしかに。

悔しいけど、認めるしかない。

玲央さんは別格だった。

< 52 / 73 >

この作品をシェア

pagetop