財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
【side 優斗】

夜の西園寺邸は静かだった。



広大な屋敷の廊下には人の気配がほとんどなく、聞こえてくるのは遠くで働く使用人たちの足音と、時計の針が刻む規則正しい音だけで、その静けさは普段なら優斗にとって心地良いものだった。



けれど。



今日だけは違う。



いや。



六花が道明寺家へ行ってからの三日間ずっと違った。



優斗は自室の机に向かっていた。



本来なら執事見習いとして勉強をしなければならない時間だ。



けれど開かれたままの資料はほとんど頭に入ってこない。



視線だけが文字の上を滑っていく。



そして気付けば。



また六花のことを考えている。



昔からそうだった。



気付いた時には好きだった。



いつからなのかなんて覚えていない。



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