【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
俺たち3つ子が話し合いをするときには、いつも翼の部屋を使う。

理由は単純で、翼の部屋が一番綺麗だからだ。我ながら、俺たち3つ子は全員容姿端麗で頭脳明晰だと思う。財界でもそう言われてるし。

でも、几帳面なのは翼だけ。俺の部屋にはつねに雑誌や参考書が散乱しているし、碧の部屋にはよくわからないプラモデルがたくさん置いてあって、いつも床になにかしらの部品が落ちている。

翼の部屋には今日も相変わらず生活感がない。

翼はソファに腰を下ろすなり深いため息を吐いた。

「最悪だな。」

「だね。」

碧も珍しく元気がない。

俺はベッドへ寝転びながら天井を見上げる。

「でもいつかはバレた気がするけどな。」

「いつかと今日じゃ全然違うだろ。」

翼が即座に返してくる。

たしかにそうだった。

理想を言えば高校を卒業して、黒龍を引退してから。

あるいは婚約が決まってから。

もっと別の形で話したかったはずだ。

そんなことを考えていると。

翼の暴走族関係者専用スマホが震え始めた。

ブルブルブルブル。

止まらない。

「うるせぇな。」

翼が画面を見る。

そして。

「は?」

眉をひそめた。

俺と碧も覗き込む。

そこには。

『総長って女いたんすか?』

『総長の女めっちゃ可愛かったっすね』

『あのお嬢様紹介してください』

『総長の彼女だったんすか!?』

『総長って恋愛するんすね』

『マジでびっくりした』

『政略結婚ってやつっすか?』

大量のメッセージ。

しかも全部六花関係。

数十件どころではない。

百件近く届いていた。

「お前ら暇かよ。」

翼が本気で呆れていた。

俺は吹き出す。

「いやでも分かるわ。」

「何がだよ。」

「六花可愛いし。」

「それは否定しない。」

翼が即答した。

すると。

部屋が静かになる。

俺と碧が同時に翼を見る。

翼も自分で言ったことに気付いたらしい。

「……。」

「……。」

「……。」

「総長、認めたね。」

碧が言った。

翼は思い切り顔をしかめた。

「うるせぇ。」

「今まで可愛いって噂の子に告られても顔さえ覚えてねぇとか言ってたくせに、六花だけは可愛いって認めた。」

「ね。」

「黙れ。」

その様子がおかしくて思わず笑ってしまう。

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