【新作】財閥令嬢の私が、三つ子の不良御曹司に世界を教えられるなんて
【side 碧】

六花を連れてプールの近くまで歩いていった瞬間。

予想はしていたけど。

予想以上だった。

「名前何ちゃんって言うのー!?」

「総長といつから付き合ってるんすか!?」

「めっちゃ可愛い!!」

「モデルとかやってるんすか!?」

「どこの学校!?」

「今日は泳ぐんすか!?」

「総長の彼女って本当!?」

黒龍の連中が一斉に六花へ群がった。

僕は思わず苦笑する。

まあ無理もない。

六花は可愛い。

すごく可愛い。

びっくりするくらい可愛い。

だから、みんなが興味を持つのは当然だった。

でも、問題が一つある。

六花本人がこういう状況に全く慣れていないことだ。

「え、あの、その……」

六花は目をぱちぱちさせながら周囲を見回している。

「わ、私は……」

「名前は!?」

「何歳!?」

「好きな食べ物は!?」

「総長のどこが好きなんすか!?」

質問が次から次へと飛んでくる。

六花の視線がだんだん泳ぎ始める。

明らかに困っていた。

でも。

そんな六花がちょっと可愛い。

いや。

かなり可愛い。

小動物みたいだった。

すると、翼が前へ出る。

「お前ら一旦黙れ!!」

低い声が響いた瞬間。

さっきまで騒いでいた連中が嘘みたいに静かになった。

すごい。

毎回思うけど、総長って便利だ。

僕だったら絶対こうはいかない。

「代わりに俺らが答えてやるから。」

翼がそう言うと、メンバーたちは素直に頷いた。

「「「はーーーい!!」」

本当に犬みたいだな、黒龍の連中。

僕がそんなことを考えていると。

みんなの視線がこっちへ向いた。

「あ。」

まずい。

なんか話さなきゃ。

でも、その時。

僕はふと六花を見る。

まだ少し困った顔をしている。

長い栗色の髪。

白い肌。

大きな瞳。

今日はいつもよりラフな服装だけど。

やっぱり可愛い。

可愛いなぁ。

本当に可愛い。

そう思った瞬間だった。

なんだか、急に変な気分になった。

さっきから、みんな六花ばっかり見ている。

質問している。

笑いかけている。

褒めている。

それ自体は普通のことだ。

だって六花は可愛いから。

でも、なんか嫌だ。

少しだけ。

いや、結構嫌だ。

なんでだろう。

僕にもよく分からない。

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