あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】
好きでした。
言い切る前に、私の言葉は先輩のキスで消されてしまった。
長い長い、先輩とのキス。
夢にまでみたキスなのに、どうして涙が止まらないんだろう。
「さくらちゃん、俺な、さくらちゃんのことずっと好きだったよ。本当に、本当に好きだった。」
そう言う先輩の瞳は、にじむ涙でキラキラと光っていた。
私が愛した、ミラーボールの光。
「さくらちゃん、ありがとう。ずっと元気でいろよ。いい恋してくれよ。」
ごしごしと涙をぬぐう、先輩の手。
最後の握手。
私の恋が、いま、終わりを遂げた。
最後は笑って、さようならが出来た。
だけど閉まった扉の向こうで、泣き崩れる先輩の姿が見えたよ。
その涙はやっぱりキラキラ美しくて。
私は電車が去って行ったあとも、ずっと向こうを見つめ続けていた。